・・・政府の大本営発表を信じたばかりだった。そして、政府が表明した勝利の終曲と、その勝利によってもたらされたと教えこまれた日本の世界一等国への参加をよろこんだだけであった。これら三つの戦争は、そのときどきの英雄大将を生みつつ一方では日本の街頭に廃・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・国家権力というものもそれと同じではないだろうか。大本営報道が総て嘘であったということは、心から私共を悲しませ、又憤らせる。その偽りの報道のために人民は自分の最も愛する者を殺された。殺されることについて沈黙を守って来た。嘘で塗り固めた権力と表・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・捏造記事である大本営発表に追い立てられてきょうの破滅が来たことを、日本のすべての人々は知らされました。特権階級として権力を握っているものは、どんなだいそれたことまで平気でしでかすか、ということについて知らされました。こんにち同じ本質の挑発的・・・ 宮本百合子 「わたしたちには選ぶ権利がある」
出典:青空文庫