あまつおとめ【天つ少女】
1 天女。「富士のねの風にただよふ白雲を—が袖かとぞ見る」〈夫木・三五〉 2 五節 (ごせち) の舞姫。「豊の明り—の袖までも代々の跡をば返してぞみん」〈新葉・冬〉
あまつかぜ【天つ風】
大空を吹く風。「—雲の通ひ路吹き閉ぢよをとめの姿しばしとどめむ」〈古今・雑上〉
あまつかみ【天つ神】
高天原 (たかまがはら) の神。また、その系列の神。→国つ神 →別 (こと) 天つ神「—は天の磐門 (いはと) を押しひらきて」〈祝詞・六月晦大祓〉
あまつかみのよごと【天つ神の寿詞】
「中臣 (なかとみ) の寿詞 (よごと) 」に同じ。
あまつしるし【天つ印/天つ表】
1 天上界にある、越えてはならない境界線。天の川のこと。「ひさかたの—と水無 (みなし) 川へだてておきし神代し恨めし」〈万・二〇〇七〉 2 (「天つ璽」と書く)天つ神の子であることを示す品。皇位のしるし。「長髄彦 (ながすねひこ) 、その—を見て、ますますおそれかしこまることを」〈神武紀〉
あまつそら【天つ空】
1 大空。天上の世界。また、手の届かない遠い所。「ひさかたの—にも住まなくに人はよそにぞ思ふべらなる」〈古今・恋五〉 2 皇居。宮中。また、天皇。「言の葉を—まで聞こえあげ」〈古今・雑体〉 3 心が落ち着かぬこと。うわのそら。「立ちて居てたどきも知らずあが心—なり土は踏めども」〈万・二八八七〉
あまつつみ【天つ罪】
1 天上界で素戔嗚尊 (すさのおのみこと) が犯した畔放 (あはな) ちのような、農耕と祭りに関する罪。→国つ罪「許多 (ここだく) の罪を—と法別 (のりわ) けて」〈祝詞・六月晦大祓〉 2 朝廷の命令による罰。「恭 (つつし) みて—を行へ」〈継体紀〉
あまつのりと【天つ祝詞】
祝詞を褒めたたえていう語。「—の太祝詞事 (ふとのりとごと) を宣 (の) れ」〈祝詞・六月晦大祓〉
あまつひつぎ【天つ日嗣】
皇位を継承すること。また、皇位。あまのひつぎ。「天つ神の御子の—知らしめす」〈記・上〉
あまつみず【天つ水】
[名]天の水。天から降る水。雨。「みどり子の乳乞ふがごとく—仰ぎてそ待つ」〈万・四一二二〉 [枕]日照りに雨を待ち望む意から、「仰ぎて待つ」にかかる。「—仰ぎて待つに」〈万・一六七〉