・・・ 就てはこれより約五分間私の奉ずる神学の立場より諸氏の信条を厳正に批判して見たいと思うのであります。然るに私の奉ずる神学とは然く狭隘なるものではない。私の奉ずる神学はただ二言にして尽す。ただ一なるまことの神はいまし給う、それから神の摂理・・・ 宮沢賢治 「ビジテリアン大祭」
・・・法王の申した事もござるし又私としても死するより恥な破門をうけた王の命令を奉ずるのは神の御名を汚す事になるから同じ意見のものと皆かたらって命令は奉ぜぬ事に致した。 と申すのじゃ。 叛逆を起すにわざわざ知らせて寄こいたのじゃ。・・・ 宮本百合子 「胚胎(二幕四場)」
・・・皇室に対して忠であることは、「一旦緩急あれば義勇公に奉ずる」ことであった。対内的でなくして対外的であった。徳川時代の主従関係のように個人的なものではなく、対国家の関係であった。これだけの相違が我々父子の間に存している。その事をまず小生は前記・・・ 和辻哲郎 「蝸牛の角」
出典:青空文庫