明治十八年夏の頃、『時事新報』に「日本婦人論」と題して、婦人の身は男子と同等たるべし、夫婦家に居て、男子のみ独り快楽を専らにし独り威張るべきにあらず云々の旨を記して、数日の社説に掲げ、また十九年五月の『時事新報』「男女交際・・・ 福沢諭吉 「日本男子論」
・・・ それから先生は、人と云うものが、決して学校で好い点を取る丈が立派なのではないと云う事、利口だと云って褒められて、他人の不仕合わせなのを思い遣らずに威張るようでは、真個に恥しいのだという事をお話になりました。そして、終いに「貴女は、・・・ 宮本百合子 「いとこ同志」
・・・男の子だからって、ブルジョア国のように威張ることなんか決してない。みんながしなければならない仕事はみんなで、男の子も女の子もやる。 洗濯、縫物なんて女の子だけの仕事みたいに思われているが、ソヴェト同盟のピオニェールはそれを男の子もします・・・ 宮本百合子 「従妹への手紙」
・・・同じ封建時代でも威張るものと、威張られるものとの感情の中にはそれだけあきらかに社会生活における一致しない利害が反映しているのである。 そして、又どういう時代においても利害を異にして対立する階級の文化が、同じ権利で社会の上に現われて来ると・・・ 宮本百合子 「今日の文化の諸問題」
・・・女を卑めて誰が得したか ところで、その時代=ブルジョア地主のロシアで、プロレタリア農民の男がどんなに威張った楽な暮らしをしていたかというと、これはまるで反対に、哀れな奴隷の暮らしだったのです。威張るどころかブルジョア・ロシアの工場で・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の婦人と選挙」
・・・ 不平は、彼を感情的ななかなか威張る父親にしました。さびれた、融和しない教区中に友人もなく、家族に満足も見出せない孤独な彼は疑もなく一種の悲劇的人物です。 けれども、見方によっては、ロザリーの母親の生活の方が、遙に憐れな、自覚されな・・・ 宮本百合子 「「母の膝の上に」(紹介並短評)」
出典:青空文庫