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・・・―― 多くは子方だったらしい。恐れて、魅せられたのであろう。 長上下は、脇座にとぼんとして、ただ首の横ざまに傾きまさるのみである。「一樹さん。」 真蒼になって、身体のぶるぶると震う一樹の袖を取った、私の手を、その帷子が、落葉・・・
泉鏡花
「木の子説法」
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・・・当時の外国貿易に従事する者は、もとより市中の富有者でもあり、智識も手腕も有り、従って勢力も有り、又多少の武力――と云ってはおかしいが、子分子方、下人僮僕の手兵ようの者も有って、勢力を実現し得るのであった。それで其等の勢力が愛郷土的な市民に君・・・
幸田露伴
「雪たたき」