・・・政治と文化とを一貫して、世相を押しきったこのような潮流は、一九四九年度の毎日文化賞の準備調査、読売新聞社の良書ベスト・テンの調査などで、諸々批判のおこっている永井ものがトップをしめ、「宮本武蔵」や「親鸞」「風とともに去りぬ」「細雪」「流れる・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・窪川稲子氏「新しき義務」宮本百合子「雑沓」にはじまる長篇への試み等が現れた。島木健作氏が、農民組合活動における今日の諸タイプを描いた「再建」は単行本として出版されて各方面に印象を与えて間もなく発禁となり、「生活の探求」は、書下し長篇小説とし・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
はなしはちょっとさかのぼるが、一月六日アカハタ「火ばな」に「宮本さんの話」という投書があった。一月も六日といえば、選挙闘争に本腰がはいって、その日の紙面もトップに田中候補が信州上田で藤村の「破戒に学ぼう」と闘っているニュー・・・ 宮本百合子 「事実にたって」
・・・を、細田民樹は大衆的作家の傾向を持ちつつ「真理の春」を、宮本百合子は人道主義的なリアリズムの道を、新しい段階に踏み出した。 興味あることには、この時代の旺な脈動が、例えば上司小剣、島崎藤村、或は山本有三、広津和郎等に案外の反映を見出して・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
一九三七年十二月二十七日、警保局図書課が、ジャーナリストをあつめて懇談会を開く。その席上、ジャーナリストが自発的に執筆させないようにという形で、執筆禁止をした者、作家では中野重治、宮本百合子、評論家では岡邦雄、戸坂潤、鈴木・・・ 宮本百合子 「一九三七年十二月二十七日の警保局図書課のジャーナリストとの懇談会の結果」
・・・「太閤記」「三国志」「親鸞」「宮本武蔵」というような題材ばかりを選ぶだろうか。それは封建時代の昔から、「百姓、町人」の間にききつたえられ、語りつたえられているテーマだからである。「太閤記」は古く日本につたわっている。芝居もある。猿面冠者の立・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
『近代文学』十月特輯号に平野謙氏の「労働者作家の問題」という講演筆記がのせられている。 その話の中で宮本百合子について多くの言葉が費されている。けれども、わたしへのそのふれかたの中には、わたしが迷惑し、聴衆や読者の判断が・・・ 宮本百合子 「孫悟空の雲」
・・・ 九月二〇日宮本 百合子 文芸家協会 御中 宮本百合子 「「チャタレー夫人の恋人」の起訴につよく抗議する」
・・・ただ断ってしまうのは、何か気のすまないところがあったので、考えた末、もしや、そこならば、落着いてそういう種類のものの持つ、文化的な意味も理解されるかと思って、私がこれ迄十二年の間に、獄中の宮本へ送った手紙を、少し系統だてて年代順に載せてみた・・・ 宮本百合子 「「どう考えるか」に就て」
・・・安倍君と同じ組には魚住影雄、小山鞆絵、宮本和吉、伊藤吉之助、宇井伯寿、高橋穣、市河三喜、亀井高孝などの諸君がいたが、安倍君のほかには漱石に近づいた人はなく、そのあと、私の前後の三、四年の間の知友たちの間にも、一人もなかった。木曜会で初めて近・・・ 和辻哲郎 「漱石の人物」
出典:青空文庫