・・・ それから、ソヴェトでは女が生産単位としては全然男と対等な権利を有って、経済的に独立している。生産単位として女が全く男と同じ地位にいるという点で、その余のいろいろなものが、変って来るのは当然のことで、ただ他の国の婦人参政権、あれとソヴェ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・日本の国際感覚には、後進国らしくそして封建くさく、仲間入りさせて貰える、仲間入りするようになった、という要素が案外につよい。対等につき合うことは既定の事実で、それからさき、どうつき合うかが問題であるヨーロッパの国際性とはちがった気分が流れて・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・ アーネストのおとなしい、女を男と対等に扱うしか知らない青年の素直な魅力はアグネスをとらえる。彼と話すこと、遊ぶこと、笑うこと、それ等は十九歳になろうとするアグネスの外見は粗野で傍若無人のような胸の底につよい憧れとなっている美、優雅、恋・・・ 宮本百合子 「中国に於ける二人のアメリカ婦人」
・・・もし民法で新しくきめられた婦人の社会的平等、人間らしい対等の権利を具体的なものにするなら、もうきょうの社会のなかで民法の条項が改正されただけでは意味がない。男と女とがその勤労によって生きなければならない労働に関係あるすべての法律で、男女は平・・・ 宮本百合子 「人間の結婚」
・・・ 自分は黙って、窓際の長卓子の彼方に坐り、正面から三人を見る位置になった。 対等で、真面目に話し合わず、母は気位を以て亢奮し、Aは涙を出し、父が、誘われたようにして居られる光景は、充分私の心を痛めるものだ。 Aが「斯う云う風・・・ 宮本百合子 「二つの家を繋ぐ回想」
・・・ 今、われわれの棲む地球で、男女が社会の生産の単位として対等に見られ、その上ほんものの母性保護によって現実に保護されているのはソヴェト同盟だけだ。 では、そのプロレタリア革命を経験し社会主義の社会を建設しているソヴェト同盟で、婦・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・そして小さい日本が大国と戦争して勝ち、つよくて金のある列強と対等のつき合いをし、応分の植民地分割にあずかるということに国内の現実からは消えた、四民平等の夢をつないだのであった。 事実、戦争がはじめられたとき、日本の人民は、はじめて権力に・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・ところが敗戦してポツダム宣言を受諾した時、日本は連合諸国から戦争犯罪国として、対等の国際的自立性を奪われた。私達祖国を愛する者は、この戦争の結果を悲しい心で受取った。そして、或る人々はきっと思ったに違いない。昔から喧嘩両成敗という言葉がある・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫