・・・ろを与えるというならば、作者自身が、従順な奴隷八千五百万とよばれている人口のうちにこめられていることを自覚して、ファシズムと戦争挑発に反対署名し、全面講和要求に署名したとしても、ジャーナリズムを通して強力にすすめられているエロティシズムの愚・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・日本の独占資本がより強力な独占資本の庇護のもとに自身の存在を維持しようとしているとき、その利益を代表する政権が、真に民主的であり得ないことは明瞭である。すべての悪質な大衆課税を通過させた両院が承認する五人の放送委員が、真に公共の利益のために・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・当時のフランスの諸事情はもとより強力な背景として説明されているのであるが、統一的な文化上の目的のためには、それぞれの思想的傾向の中にふくまれている本質上の相異まで全く帳消しにして仕舞われたかのように紹介された。 次で重要なことは、「行動・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・労働と消費とがそれぞれに違った階級に属していること、肉体労働と精神労働とが極端に分裂していること、労働の極端な専門化、都会と農村との分裂など資本主義そのものが本質的に持っている諸矛盾が文化の上にも強力に反映して来ている。そして現在にいたって・・・ 宮本百合子 「今日の文化の諸問題」
・・・多くの科学者が、科学の立場からその強力な摩擦に苦しみ、そのような統制に反対の意志を示しているのは当然である。このような統制は本質的には、一般的に人間の知性の否定、或は一方的な抑圧を意味するのである。文化の相関的一翼として文学においてもこの現・・・ 宮本百合子 「作家のみた科学者の文学的活動」
・・・ しかし、今日私たちが文学を語る時、どうして、一応は文学とはちがうものの強力との比較の上で非力なるものとしての文学として語らなければならないのだろう。文学に健全さが求められているならば、先ず文学そのものの存在が平明にその自然さで真情的な・・・ 宮本百合子 「実感への求め」
・・・ので階級的真理ではないにしろ、科学的真理を現実の社会に活用してゆく力の階級性――それが幸福をねがい、平和をねがい、よき人生を求めている世界の働く人民であるか、それともありあまる富と権力とによってさらに強力なスリルと利潤とを、世界人類の基礎の・・・ 宮本百合子 「質問へのお答え」
・・・の発展的解消を提唱し、創作方法のスローガンとして社会主義的リアリズムをかかげ、広汎に強力に、いきいきと、すべての作家よ、めいめいの実践をとおして「社会主義建設を描け」と云っているわけです。 以上の簡単な説明でも明らかなとおり、この「社会・・・ 宮本百合子 「社会主義リアリズムの問題について」
・・・理性的に批評し得なかったために自身の成長の道を見出せなかったと同様に、ヒューマニズムの提唱に於ても無制約な人間再生の要求の強調された心理の根底には、やはり現代ヒューマニズムが歴史的な現実把握と理念との強力な統一を予想しているという核心をおの・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・それは夢のような幻影としても、負け苦しむ幻影より喜び勝ちたい幻影の方が強力に梶を支配していた。祖国ギリシャの敗戦のとき、シラクサの城壁に迫るローマの大艦隊を、錨で釣り上げ投げつける起重機や、敵船体を焼きつける鏡の発明に夢中になったアルキメデ・・・ 横光利一 「微笑」
出典:青空文庫