・・・これすなわち我が輩の着眼、皇漢洋三学の得失を問わず、ひとり洋学の急務なるを主張するゆえんなり。 願くは我が旧里中津の士民も、今より活眼を開て、まず洋学に従事し、自から労して自から食い、人の自由を妨げずして我が自由を達し、脩徳開智、鄙吝の・・・ 福沢諭吉 「中津留別の書」
・・・徳教の急務は百事を抛ち先ずこの火を消すにあるのみ。婦人の地位を高尚にするの新案は、あたかも我が国未曾有の家屋を新築するものにして、我輩固より意見を同じうするのみならず、敢えて発起者中の一部分を以て自ら居る者なれども、満目焔々たる大火の消防に・・・ 福沢諭吉 「日本男子論」
・・・主義戦争反対の闘いであり、帝国主義戦争によって生じるあらゆる矛盾のモメントを内国的にはプロレタリア解放のために有利に強力に転化せしめることであり、そのためにプロレタリアートの共力者として農民との結合が急務であることなどを理解している。 ・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・ 従来の誤った結婚観念、習慣、制度を改正し、簇出しつつある多くの不正、不幸を取除くために正当な離婚法が制定されることは急務です。然し、究極に於て各人の叡智と愛との根源に還る問題ではありますまいか。 人類の最も本質的な、最も純粋である・・・ 宮本百合子 「心ひとつ」
出典:青空文庫