・・・ 益々その範囲を拡大するという風評と図書課長談として同様の意嚮の洩されたことは、事実指名をされなかった窪川夫妻などの執筆場面をも封鎖した結果になっている。 一月十七日中野重治と自分とが内務省警保局図書課へ、事情をききに出かけた。課長・・・ 宮本百合子 「一九三七年十二月二十七日の警保局図書課のジャーナリストとの懇談会の結果」
・・・人類の意向は、酔狂ではないのだ。 皆が友と成らなければ成らない。皆が互に、互の献物を大切に仕合ってと運ぶべき処が在るのでは無いだろうか、私共の生活を透して、相互に理解し、心から協力し合える範囲が、若し所謂人情の領域にのみ限られているもの・・・ 宮本百合子 「断想」
・・・ そこで、当時の意向では、ほんの当分の方便として、彼女は従来の生活をすっかり改め、幸、裁縫が上手なのを利用して、或る小学校の教師になりました。 家兄の許を離れ、自己の生活を営んで幾年か経つ間には、何時か、自分達の希望が遂げられる機会・・・ 宮本百合子 「ひしがれた女性と語る」
・・・私共の魂に吹き込まれて生れて来たものが其を命じ、その命令の、その意向の絶大であると信ずるものによって動かされたいと思う。 尊敬すべき農夫は、決して土をうなう手練の巧妙と熟達とを、仲間に誇ろうとはしないだろう。土を鋤く事は、よい穀物を立派・・・ 宮本百合子 「一粒の粟」
・・・そして、父を呼び、二三日のうちに、行き度い意向を告げた。彼の心持で云えば、一寸客間で話しでもして帰る積りであったのだろう。けれども、林町では、折角来られたものだから、せめて夕餐でも一緒にしたい。それには、自分の腹工合が悪いのをなおしてから。・・・ 宮本百合子 「二つの家を繋ぐ回想」
・・・ 総選挙が迫ったこの頃、連合国司令部に、その結果によっては議会の再解散する意嚮があること、対日理事会として、当選議員の資格審査も行われるだろうと云われているのは、肯ける。国際的な注目は、今度の総選挙の日本の民主化に対する危険性を見ぬいて・・・ 宮本百合子 「矛盾とその害毒」
出典:青空文庫