・・・また前線を訪問した工場からの慰問隊の、断片的な手記しかなかった。ソヴェトの作家たちは、赤軍、赤色艦隊の軍事活動にうとかったと同様に、更により深い意味をもつその平和建設の能力と功績を理解していなかったのだ。 研究委員会は、赤色陸海軍に対す・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
・・・そうして彼は牢獄において手記を残して行った。お前は小説に書かれるか。そこまで私は云われました。」清水被告は、彼の詳しい、情熱のこもった陳述を次のようにむすんでいる。「三鷹電車区の中には、たとえかけだしの党員でも年が若くてもマルクス・レーニン・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・その後、何ものにも保護されることのない無産の若い女性が、資本主義社会の中でその身にかぶらなければならないあらゆる混乱をきりぬけて、彼女も小池富美子となり一九四八年末『女子共産党員の手記』という短篇集を送り出した。「女の罰」「肝臓の話」「女子・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
・・・――ゴーリキイが昔から労働者の手記、新しい作家の作品について親切な注意を払うことは知れわたった事実である。 南露からコーカサスまでを巡遊し自分の新しい建設に熱中しているソヴェト同盟の労働者・農民の嵐のような歓呼に迎えられ、ゴーリキイは感・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・、「或る女の手記」、「わたくしは生きる」をえらんだ。「未だ亡びざる人々」を最後に附記されている『婦人公論』編集部宛の長瀬澄江さんのことばまでとおしてよんだとき、その手紙と本文の文章とのあいだに、切なさとはこういうものと思わせずにいないす・・・ 宮本百合子 「「未亡人の手記」選後評」
・・・ 一、保姆の手記 牧野幸子 いくらか感想文の調子の流れこんだ報告文学であると思います。働く母たちとその子への情愛はよく汲みとれますが、ルポルタージュとすると、朝七時出勤してから、その母たちが何時と何時に何分ずつ授乳の時間をもって・・・ 宮本百合子 「ルポルタージュの読後感」
・・・ さき頃セルパンに、今度の大戦になってからフランスのある若い娘の書いた手記が訳出されていた。今名を思い出せないけれども、二十五歳になっているその娘は第一次の大戦のとき姉や先輩たちの経験した女としての感情の擾乱を、自分たちは自分たちの青春・・・ 宮本百合子 「若い婦人の著書二つ」
・・・わたしは、たぶん『新女苑』であったかに、一人のフランス女学生の手記がのっているのを読んだ。いま、その名を思い出すことのできない若いソルボンヌ大学の女学生は、その手記のなかで、次のような意味のことを語っていた。第一次ヨーロッパ大戦から二十五年・・・ 宮本百合子 「私の信条」
出典:青空文庫