・・・最前列の女が席を立ってそれを舞台の上、演壇の下に出されてる投書受箱へ入れてきた。 ――タワーリシチ! 今夜盛大な第十回世界無産婦人デーの夕を持つことは実に愉快であります。何々区ソヴェトの心からの歓びを諸君に伝える為私は代表としてここに送・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
はなしはちょっとさかのぼるが、一月六日アカハタ「火ばな」に「宮本さんの話」という投書があった。一月も六日といえば、選挙闘争に本腰がはいって、その日の紙面もトップに田中候補が信州上田で藤村の「破戒に学ぼう」と闘っているニュー・・・ 宮本百合子 「事実にたって」
・・・の農民はうんと女房をなぐった。亭主のそれが情愛だといってなぐった。そういう時代はもちろん去った。けれどもモスクワ発行の『労働者新聞』の「自己批判」の投書に、こういうのが出ることがある。 パウマン区何々通五八番地、室十五号に住んでいる・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・という投書にもあらわれているように、労働者、小市民勤労者、農民、革命的インテリゲンツィアとしての学生までを、「勤労者文学」にこめて考えていても、生活の動きはきびしいから、でこぼこはひどくなる。労働者の文学は、プロレタリアートの文学として前衛・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・大衆的投書もある。文学サークルの連中の詩や小説ものる。 職場の新聞は、印刷の工場新聞をもっている工場でも各職場職場が手書きの壁新聞の型で発行している。五時間毎にかわる。これは、ほんとに職場の新聞で、職場の日常的なあらゆる感想、自己批判を・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・ ところが、きょうの新聞に奇怪な投書が掲載された。モラトリアム発表前の十六日、正金銀行で、課長以上の行員たちが殆ど全部現金を五円札に代え、前交易営団総務課長は、二十万円の金を五円札で引き出したという事実である。おそらく、現にその手で事務・・・ 宮本百合子 「人間の道義」
・・・然し現在各地の農村工場から送られて来る通信員の報告又は投書などには、その質において百の大田洋子が寄っても書けないいいものがあります。 文学の隆盛は階級の隆盛と密接に結びついています。一定の階級が勃興期にある時はその階級の文学も隆興し、そ・・・ 宮本百合子 「婦人作家の「不振」とその社会的原因」
・・・「ある女のひとが投書しているんですけれどね、電車のなかで私たちみたいな女がドストイェフスキーみたいな厚いむずかしいものなんかをよんでいるのを見かけるが、果して彼女達はどこまで理解してよんでいるのだろう、って云うんです。電車の中なんかでは・・・ 宮本百合子 「二人いるとき」
・・・に一読者よりとしての投書でのせられていた。「前略、万葉古義を拵えることも勿論立派な仕事と思いますが、而し民衆はそういうものよりも、もっと生活に喰いこんだものを求めているのではないでしょうか。略」 ぼんやりした表現で書かれていたけれども、・・・ 宮本百合子 「文学における今日の日本的なるもの」
・・・だから文学サークルが目下小説を書いている人たちだけの中心勢力で指導されていて他のより多くの人はいわゆる文学愛好家の水準にとどまって、心まかせの投書雑誌向きな詩や小品ばかりを書いているという状態は、できるだけ早く発展させられなければならないで・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
出典:青空文庫