・・・戦争挑発者にとって最もほくそ笑まれる状態は、ある国の人民の間に、はっきりとした根拠はないけれども、一つの国に対してしつこい偏見が永年の間に植えこまれているという状態である。ヒトラーは、フランスの指導者たちの間にあったひとつの偏見「イギリスぎ・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第八巻)」
・・・若い人々は、まず基本的命題としてこの自主的発言をした上できょう日本の新聞に溢れている戦争挑発の記事をよむべきで、しかもそれは全世界の青年男女の発言である、平和要求の発言を自身に向ってもはっきりとした上で、キリストへの信仰をもつものならその実・・・ 宮本百合子 「生きつつある自意識」
・・・ 日本の一部の人々は、あんまり度々いや応なしに戦争にかりたてられてきたために、神経衰弱のようになっていて、しんから戦争をさけたいと思っているときでも、ちょっとした挑発や暗示にまけやすくなっている。 わたしたちは平和を求め、そのために・・・ 宮本百合子 「いまわれわれのしなければならないこと」
・・・そして、一九二八年三月十五日、三・一五として歴史的に知られている事件のころから共産党の組織に全国的にはいりはじめていた警察スパイが、最もあからさまに活躍して、様々の金銭問題、拐帯事件、男女問題を挑発し、共産党員を破廉恥な行為へ誘いこみながら・・・ 宮本百合子 「解説(『風知草』)」
・・・共産党に関係のある兇悪な犯罪事件のように挑発され、一部の知識人さえその暗示にまきこまれた。ところが他殺でないことがわかったきょうでも、まだ死者に対するはっきりした哀悼は示されていない。 命を奪われるほど悪人でなかった故人。むしろ弱点も人・・・ 宮本百合子 「権力の悲劇」
・・・そのために景気がよくなるとか、失業が救われるとか、日本の地位が高くなるとか、戦争挑発を行います。 昔から、落城の時、まっ先に殺されたのは子供と女でした。現代の科学兵器で銃後というものはありません。この小さい海に囲まれた人口の多い日本が、・・・ 宮本百合子 「講和問題について」
・・・世界平和のために戦争挑発とたたかい、戦争に誘いそれを暗示する思想と言論のカナライゼーションに抗してわれわれ自身を恥辱から救おうとする決意と行動は、こんにち、フランスの抵抗をまねる範囲をぬけている。一九五〇年は、日本の理性が試練される年である・・・ 宮本百合子 「五月のことば」
・・・プロレタリアの国ソヴェト同盟の根本的な外交方針は、平和であり、それぞれの国の大衆を犠牲とする戦争に決して自分から立ち入ったり、挑発したりしないということを。戦争で、ムザムザ若い命を大砲、毒ガスの餌じきにされるのは誰だろうか? 世界平和を・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ などとスローガンが並べられ、人民を武装蜂起に挑発している。 スローガンだけあるが、生産を国家管理にするといっても、それはどういう国家がどう生産を管理するのであるのか、階級なき新日本と云っても、犬養を殺し、軍部が暴威を振って階級が無くな・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・そうだからこそ、こんにち、ラジオや出版物で戦争を挑発し、戦争ヒステリーに感染させようとしている者どもは、この地球のどこかに、この次の戦争に利用されていい民族、あるいは人民の群が存在してでもいるかのような云いかたをしています。自分のところは無・・・ 宮本百合子 「国際婦人デーへのメッセージ」
出典:青空文庫