・・・はいずれも著者にとっては有難い親切な読者からの反響であるが稀には有難くない手紙をくれる人もある、例えば、昨年であったか、ある未知の人から来た手紙を読んでみると、先ず最初に自分の経歴を述べ、永年新聞社の探訪係を勤めていたということを書いたあと・・・ 寺田寅彦 「随筆難」
・・・ ○新恋愛探訪 颯爽として生活力的な恋愛一つもなし。 三つの記事 各々に対する記者の態度が反射して居て面白い。人に対して一人のフェルシンニッツア、体温計、その中に一本いつも三度低いのをもってかけ廻る。 ニャーニカは大体親切だ・・・ 宮本百合子 「一九二九年一月――二月」
・・・昨夜もラジオを聞いていると、街の探訪放送で、脳病院から精神病患者との一問一答が聞えて来た。そして、終りに精神科の医者の記者に云うには、「まア、こんな患者は、今は珍らしいことではありません。人間が十人集れば、一人ぐらいは、狂人が混じってい・・・ 横光利一 「微笑」
出典:青空文庫