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・・・その方法、この悲劇の社会的な原因を排除するのではなしに、かえってそれを掩護し、不合理の率直な告訴人となれないで、心ならずもそのかかしとしてつかわれながら。 これも一つの日本の悲劇であったと思う。あの事件に関して暴力をきびしく非難したのが・・・
宮本百合子
「権力の悲劇」
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・・・場所の何処に拠らず、私を総ての掩護から露出させた圏境に依ります。 嘗て知らない苦労にも会いましょうし、光栄も感じます。その種々相を透して、さながら、プリズムの転廻を見るように、種々雑多な人間性が現われて参ります。 その一色をも逃すま・・・
宮本百合子
「C先生への手紙」