・・・あるいはこの話は軍人援護の美談というべきものではないかも知れない。しかし、いま私は「私の見聞した軍人援護朗話」という文章を求められて、この話を書き送ることにした。この十八歳の娘さんのいじらしいばかりに健気な気持については、註釈めいたものは要・・・ 織田作之助 「十八歳の花嫁」
・・・あの時は砲車の援護が任務だった。砲車が泥濘の中に陥って少しも動かぬのを押して押して押し通した。第三聯隊の砲車が先に出て陣地を占領してしまわなければ明日の戦いはできなかったのだ。そして終夜働いて、翌日はあの戦争。敵の砲弾、味方の砲弾がぐんぐん・・・ 田山花袋 「一兵卒」
・・・参議院の引揚援護委員会も吉村隊事件ではいかがわしい委員会の本質を、人々の前にむきだした。 今日の新聞では西尾末広の偽証罪が不問に附せられるかもしれないことについて、弁護士である人からの投書があった。有名なえらい人の偽証は無罪とされ、一般・・・ 宮本百合子 「「委員会」のうつりかわり」
出典:青空文庫