・・・こんにち、平和を支持し、ファシズムに反対する作家たちの一人一人が、その創作の現実で、新しいより社会的な創作方法にまで歩み出しているとは云えないけれども、日本の現代文学が世界の文学として生存してゆくための意味深い本質的萌芽は、すでに日本のうち・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十一巻)」
・・・ 党、それを支持するプロレタリアートの一面の誤謬は指摘され、笑われている。プロレタリア的な積極的な見通しが、全脚本を通じてない。そこで、大衆は疑問をもち始め「赤紫の島」は上演を禁じられた。 この例でもわかるように、闘争的プロレタリア・・・ 宮本百合子 「新たなプロレタリア文学」
・・・作者としてそれを支持している。しかし、ではどのような新しい道が葉子のためにあったろうか。葉子の時代はその新しかるべき道が女のために未だはっきりとは示されていなかった。キリスト教の文化から背を向ければ、芸術的気質のない葉子には、擡頭しようとす・・・ 宮本百合子 「「或る女」についてのノート」
・・・ こういう工場内の悪質な分子を、労働者出の管理者及び彼を支持する労働者群がどんな困難を経て、克服して行くかといういきさつは、キルションの有名な戯曲「レールは鳴る」にもよく表現されている。 インガ・リーゼルが、知識階級から出た、教育と・・・ 宮本百合子 「「インガ」」
・・・は、内閣が自分の防衛のために議会をベルリンから他の市へ移そうとするのに反対して、市民軍を支持して一つの檄を公表した。檄はマルクスと二人の同志とを叛逆罪として起訴する種に使われた。公判の結果、一同無罪となった。 これはイエニーにとって貴重・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・写真機の大衆化は、その生産過程の特殊性から或る方面の支持によったのであるそうだが、ずうっとひろげておいて今度はそこから零細なようでつもると大きいものを〔二字欠〕上げて来るという方法である。例えばどんなに税が高くあろうとも妻や妹はウビガンの香・・・ 宮本百合子 「カメラの焦点」
・・・支那革命に対してそれだけソヴェト同盟の大衆が注意を払い支持しているということの証拠である」と、はっきり大衆の立場から、裁判長の半畳を訂正します。もう何とも裁判長は音が立たないのです。高岡只一が凡そ四時間に亙って陳述した間、裁判長はただ数度小・・・ 宮本百合子 「共産党公判を傍聴して」
・・・この記事をよんで、『キング』が大衆の支持を失う日はもう見えていると強く感じた。 軍事経済政策で日用品の物価はこの五ヵ月間に三割近くあがったが、損をしないためには、「干饂飩なんかは一年分位買いため」「米の如きも少しは買いためておけば」いい・・・ 宮本百合子 「『キング』で得をするのは誰か」
・・・ここで真に芸術の使徒となろうとする人は生命を賭してロマン・ロオランのごとき人を支持するのである。 人間は神の前において平等である。しかしある人は他の人よりも多くの稟賦を恵まれ、そのより多くの力をもって指導者の位置につくことができる。ある・・・ 和辻哲郎 「世界の変革と芸術」
・・・それは真善美に分別せられ得るあらゆる価値を、欲し造り支持する。この人類の前にあっては、生物学的に意味せられた民族の別のごときは根本の問題ではない。我々がエジプトの彫刻に接して、その不思議な生きた感じに打たれるとき、我々は真実にエジプト人の血・・・ 和辻哲郎 「『劉生画集及芸術観』について」
出典:青空文庫