・・・すなわち昔日は乱を好み、今日は治を欲する者なり。 もしも維新の一挙、当初に失敗したらば、この輩はただ世の騒乱を好みて平安をいとう者とて、天下後世の評論を受け、あるいはその寃を訴うるによしなきを知るべからずといえども、偶然に今日の事実を見・・・ 福沢諭吉 「教育の目的」
・・・ また、四民同権の世態に変じたる以上は、農商も昔日の素町人・土百姓に非ずして、藩地の士族を恐れざるのみならず、時としては旧領主を相手取りて出訴に及び、事と品によりては旧殿様の家を身代限にするの奇談も珍しからず。昔年、馬に乗れば切捨てられ・・・ 福沢諭吉 「徳育如何」
・・・ 両者のともに欠くべからざるは右の如くなりといえども、今日の文明は道徳の文明にあらず。昔日の道徳も今日の道徳も、その分量においてはさらに増減あることなく、啻に増減あらざるのみならず、古書に載するところをもって果して信とせば、道徳の量はか・・・ 福沢諭吉 「文明教育論」
・・・従って彼がその周囲にもっている集団は昔日の大衆ではなく、主としてかぎられた文学的集団になって来ている。 文学の主題としての、国内戦は、記録文学の時代をすぎて既に革命の歴史的観点から、丸彫りにして再現さるべき時になっている。しかし、左翼作・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
出典:青空文庫