・・・この間、大衆の健全な娯楽、階級的な文化の一般的啓蒙、あらゆる角度と種類からの労働者階級の文学、民主主義文学の創造と普及とは、必ずしもそれぞれの特殊性を有機的にいかすくみ合わせで組立てられてもいなかったし、動かされてもいなかった。 一九四・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・ 全集の普及は、わたしたちすべての人民が、歴史における運命を一歩前進させるための足がかりとして小林多喜二の生涯と文学とを、あらゆる角度から多面的に摂取するための何よりの機会である。〔一九四九年二月〕・・・ 宮本百合子 「小林多喜二の今日における意義」
・・・ 明治の初め先ず普及したのが英語であったような関係で、若く急速に歩み進んだ日本で、婦人の医者はあって、病理などやる人のないということは私たちにもよく肯ける。消極の意味で肯ける。おくれている中国の状況を見ても、そこには女医は急速に増して来・・・ 宮本百合子 「市民の生活と科学」
・・・ソヴェトが今日に至ったまでの歴史、生産に対する知識の普及、衛生知識の普及、今日五ヵ年計画がどう行われているかというニュース、そういうものを芸術的にどう表現していくかという点に特長がある。同時に芸術的に技術的に非常に進んでいる。日本のように単・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・去年の第一回民主主義文化会議の折にも、又新日本文学会の第三回大会にも云われたように、創造と普及の統一された活動の必要は今日でもまだくり返えされてよい点だと思います。 今日の討論の中で「小林多喜二的身がまえ」について発言がありました。・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・そしてそのことによって進歩的読者に社会主義の具体的図絵を与え、党の意義を普及しつつある作家をその事実にたって公正に評価することが他の党員作家にとって有害であるということは理解しにくいことです。文学における政治の優位ということは文学運動と作家・・・ 宮本百合子 「文学について」
・・・ しかし作家の生きてゆく社会的感覚と作品の生きてゆき方――作品の普及される方向、出版されてゆく条件などについて、単に受動的でいられなくなっている作家、著述家があらわれてきている。 一九四五年八月、戦争が終って、日本に民主的方向が示さ・・・ 宮本百合子 「文化生産者としての自覚」
・・・のこの著作の翻訳がいかなる傾向の日本の現状によってかく大々的に扱われるのであるかということを、歴史的展望に立って鋭く洞察しなければ、新聞代まで高くなったほど紙の騰貴した折柄、悪意を満載した紙屑がしかく普及されることの矛盾が私たちには諒解され・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・ 日本におけるラジオの普及率は凡そ世界の十四位にあるらしい様子である。ラジオ年鑑によると、ソヴェト連邦は約六十五局、聴取者約一千万、中華民国は全国百二十局内外。施設者はアメリカと同様に千差万別であり自由経営になっている。普及率の面から見・・・ 宮本百合子 「「ラジオ黄金時代」の底潮」
・・・既に過去何十年間かこの宮殿にない図書室、科学、芸術、工業の知識普及のためのクルジョーク。モスクワではあらゆるけちな労働者クラブにさえ満ち溢れるそれらのものを、唯一つの手ばたきでここに視角化する魔力は持たぬ。民衆宮とは日本よりの社会局役人をし・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫