・・・その埋め合わせというわけでもないかもしれないが、昔から相当に戦乱が頻繁で主権の興亡盛衰のテンポがあわただしくその上にあくどい暴政の跳梁のために、庶民の安堵する暇が少ないように見える。 災難にかけては誠に万里同風である。浜の真砂が磨滅して・・・ 寺田寅彦 「災難雑考」
・・・この公務を取扱う人を名づけて政府の官員または会社の役員といい、この官員の理不尽に威張るものを名づけて暴政府といい、役員の理不尽に威張るものを暴会社という。即ち民権の退縮して専制の流行することなり。 今前条に示したる家内に返りてこれを論ぜ・・・ 福沢諭吉 「教育の事」
・・・ 日本のなかでの帝国主義のもとで、今日の権勢が暴政であることを感じつつあるのは、労働者・勤人や学生ばかりではない。中小商工業者の破滅とラジオ、新聞をふくむ文化、学問への抑圧はどれも一つ同じ原因から発している。河合栄治郎の公判記録が、『自・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・将来この時代を記すにあたって、アメリカが反動、暴政、圧迫によってこの闘争を弾圧したということになれば、これは恥ずべきことになるだろう」「もしアメリカ国民が、他の国家の人民にたいするスポークスマンの役目を軍人に許すならば、それは現代の大悲劇と・・・ 宮本百合子 「「人間関係方面の成果」」
出典:青空文庫