・・・ 本編には、女優高野幸代の女優としての生涯を記す。 高野さちよを野薔薇としたら、八重田数枝は、あざみである。大阪の生れで、もともと貧しい育ちの娘であった。お菓子屋をしている老父母は健在である。多くの弟妹があって、数枝はそ・・・ 太宰治 「火の鳥」
・・・ 本編を草するために参考にした書物は次のようなものである。V. I. Pudovkin : On Film Technique, 1930.W. Pudowkin : Filmregie und Filmmanuskript・・・ 寺田寅彦 「映画芸術」
・・・ 俳句の修業はまた一面においては日本人固有の民族的精神の習得である。本編の初めに述べたように俳句という特異な詩形の内容と形式の中に日本民族の過去の精神生活のほとんど全部がコンデンスされエキストラクトされている。これが外国人に俳句のわから・・・ 寺田寅彦 「俳句の精神」
・・・これを評論するは本編の旨に非ず。ただ、国勢変革の前後をもって、かりに上下の名を下したるのみ。 かくの如く、天下の人心を二流に分ち、今の政府はそのいずれの方にあるものなりやと尋ぬれば、口を放ちてこれを上流といわざるをえず。その明証は、世人・・・ 福沢諭吉 「学者安心論」
・・・ 本編の趣旨は、初段の冒頭にもいえる如く、日本男児の品行を正し、その高きに過ぐる頭を取って押さえ、男女両性の地位に平均を得せしめんとするの目的を以て論緒を開き、人間道徳の根本は夫婦の間にあり、世間の道徳論者が自愛博愛などとてその得失を論・・・ 福沢諭吉 「日本男子論」
出典:青空文庫