・・・同時に、写真のまともな機能も、ずいぶん拡大された。社会のあらゆる場面の報告者。人生の各断面の語りて。写真がますます生活についたものとして扱われて来ていることは面白い。 宮本百合子 「きょうの写真」
・・・婦人の政治参加の問題どころか、戦争に熱中した政府は戦争に対する人民の批判や疑問を封鎖するために、近衛首相を主唱者として、政党を解消させ、翼賛政治会というものにして、議会そのものの機能を奪った。婦人運動の各名流たちは、「精神総動員」に参加して・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・既成の大きい力・多数の力ということを強調するならば、小さい婦人民主クラブが存在する意義はないし、わたしたち一人一人のうちにある小さな善意、小さい誠実の社会的な価値とその機能は期待されない。子供が小さいから、よく実利を発揮しないからと云って育・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・新しい現実にふさわしくしなやかで、機能の高い関節をどんなにふやすことができただろうか。まけおしみぬきで、事実を事実として見るならば、民主的文学運動におけるこの地点には、思いのほかの地すべりがある。 太宰治の死に際して、受動的な形であらわ・・・ 宮本百合子 「現代文学の広場」
去年の秋、日本プロレタリア作家同盟はその中央常任委員会に属する一つの文学的活動機能として婦人委員会を設けた。 元来プロレタリア文学の中に特別な婦人のプロレタリア文学などというものはない。それは明かなことだ。搾取に対して・・・ 宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
・・・ こんにち、もっとも真率に探求的な態度で語られなければならないのは、理性の構成と機能、の課題である創作方法の問題ではないだろうか。しかもそれについて語りかたは、歴史の現実とともに急激に推進されて、わたしたちは、創作方法についてメリー・キ・・・ 宮本百合子 「心に疼く欲求がある」
・・・ 一九三二年以来日本では内外の事情によってプロレタリア文学が運動としての形態と機能とを失ったことは既に知られている通りである。左翼の運動は日本の資本主義社会の特殊な人工培養性に従って全く独得な歴史を持つものであるが、プロレタリア文学・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・たとえば非常に大組織で雑誌の出版をおこない、月に数百万部の雑誌を売っている講談社はそれだけの雑誌をこしらえ得る機能を独占していると同時に、それらの雑誌によって、支配的階級が拡げようと欲するような傾向に文化を独占しているのである。 今日わ・・・ 宮本百合子 「今日の文化の諸問題」
・・・それぞれにちがったもの、それぞれの本来の機能のあるもの、それをそれとしての価値で何故あるとおり見ていっていけないような工合になっているのだろう。 文学の本来の言葉で語る場合にそういうひねこびた状態が伴った例は過去にもあった。過去の或る時・・・ 宮本百合子 「作品の主人公と心理の翳」
・・・今日、日本の文学が、日本の民主主義の現実と、その特徴に立つ独自の機能を会得されようとしているとき、同伴者作家というもののありようは自然別様になるのだろう。並んで流れつつ、それは別な河、という存在ではなくて、澎湃たる日本の新民主主義文学のゆた・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
出典:青空文庫