・・・三年生の某々二君と、池の水温分布を測った事がある。池の中島にガルバをすえて、小船でサーモジャンクションを引っぱりあるいては、時々の水温の水平ならびに垂直分布を測った。冬の最中のある日に観測中に某君が誤って水中に落ち、そのために病気を起こした・・・ 寺田寅彦 「池」
・・・また船が進水した時に気温と水温との差違のために意外な応力を生じる。これも以前には誰も詳しく研究したものがなかったのを末広君が初めて正当な解釈を与えた。また陸上では起らぬようなタービンの故障が舶用タービンでしばしば起るのはタービン・ディスクの・・・ 寺田寅彦 「工学博士末広恭二君」
・・・これが冬期だといったいの水温がずっと低いために悪いガスなどの発生も微少だから害はないであろう。これは想像である。 それにしても同じ有害な環境におかれた三尾のうちで二つは死んで一つは生き残るから妙である。 水雷艇「友鶴」の覆没の悲惨事・・・ 寺田寅彦 「藤棚の陰から」
出典:青空文庫