・・・自分は蹶起して乳搾りに手をかさねばならぬ。天気がよければ家内らは運び来った濡れものの仕末に眼の廻るほど忙しい。 家浮沈の問題たる前途の考えも、措き難い目前の仕事に逐われてはそのままになる。見舞の手紙見舞の人、一々応答するのも一仕事である・・・ 伊藤左千夫 「水害雑録」
・・・アメリカでも、イギリスでも坑夫は蹶起しつゝあった。全世界に於て、プロレタリアートが、両手を合わすことをやめて、それを拳に握り締めだした。そういう頃だった。 M――鉱業株式会社のO鉱山にもストライキが勃発した。 その頃から、資本家は、・・・ 黒島伝治 「土鼠と落盤」
・・・同氏は二・二六事件の本質を、陸軍内部の国体原理主義者――皇道派と、人民覇道派――統制派との闘争とし、敗北した二・二六事件の本質を、労働者農民の窮乏に痛憤した青年将校の蹶起、侵略戦争に反対し、陸軍内の閥と幕僚を排撃して、陸軍の自由を愛好する分・・・ 宮本百合子 「作家は戦争挑発とたたかう」
・・・働く妻、働く母、働く娘は蹶起してその収奪に抗争したのであった。 十月革命は大衆の真の要求を代表し、レーニンを指導者とするボルシェヴィキを支持する大衆の力で行われ、プロレタリア・農民の国家が建設された。働く婦人は初めて、その働きにふさわし・・・ 宮本百合子 「ロシア革命は婦人を解放した」
出典:青空文庫