・・・アメリカの禁酒法案が通過して、あのように長く行なわれたのも、婦人の道徳性の内からの支配力がどんなに強いかの証拠であって、男子にとっては実はこれは容易でない克己がいるので、苦い顔をしながらも、どうも婦人のいうことをきかずにはおれぬのである。そ・・・ 倉田百三 「女性の諸問題」
・・・ 政府がきめる土地調整法案で地主は必ずしもいま働いている小作人に土地をわける義務はないのだし、この調整法の本来が大地主をもっと数多い小地主にかえることでしかない。ヤグラの上で、盆祭りの赤い腰まきを木の間にちらつかせて涼んでいる農家のかあ・・・ 宮本百合子 「青田は果なし」
・・・ことあたらしく観察するまでもなく、大学法案に関する問題、レッド・パージに対する各大学の状態が強いられている現実を語っている。大学は、英語を使用し、英語で使用される新しい大小の官僚、事務官を養成すればことたりるところという標準で組みかえられつ・・・ 宮本百合子 「新しいアカデミアを」
・・・トルーマンが政策として、平和のための強国間の協力、アメリカの公務員法案であるタフト・ハートレー法の撤廃、物価の引下げ、人種的差別の撤廃その他を主張して当選したとき、日本では全人民の生活を破壊したさきの侵略戦争共同謀議者二十五名の判決公判が開・・・ 宮本百合子 「新しい潮」
・・・これは大学法案反対の場合にも見られたことです。自由を守り、ファシズムと奴隷教育に反対する意志の表現は、誰にとっても基本的人権の問題だし、われわれが税を払って政府を養っている以上それと全くひとしい権利を保証された社会的行動の一つです。 文・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・ 利にさとい人々は、日本の文化性にあるこの不幸な沈黙とうけみの習慣をとらえて、この国会の会期中、どっさりの反民主的な法案を上程している。そのなかには当然言論出版の官僚統制をもたらす用紙割当事務庁法案があり、ラジオ法案がある。国会の人さえ・・・ 宮本百合子 「偽りのない文化を」
・・・施政方針を語らないままで、公務員法案は一気にとおそうとしている。そういう妙なことは何の基盤で出来るのだろうか。吉田は腹の出来た政治家と云われている。事務的に科学的にものごとを処理する人柄よりも、ワッハッハという笑いかたで解決する東洋古風型で・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・日本の人民の独立に関する一つの問題としてあれほどみんなが関心をもった大学法案、二十七名の中立的な学者たちが反対署名した非日委員会問題、「南原の線を守る」という表現がある意味では常識となって来ているほど広汎に人事院とりしまり規則に反対している・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・そしてラジオの民主化が、意識的に停滞させられているうちに、さる六月逓信省は放送事業法案を国会に上程した。 この法案は日本のラジオの自由と健全な発展を期するために立案されたものであるとして公表された。しかし一般にこの法案が日本のラジオの民・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・放送の自由をまもり健全な発達を目的とする」放送法案が六月十八日に提出された。これまでの放送協会の仕事ぶりには、いろいろの批判が加えられなければならない。内部の運営が民主的でないこと、プログラム編成が低俗であり昨今は労働、農民、報道、子供のた・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
出典:青空文庫