・・・蛇でもいもりでも焼いてしまえば結局炭と若干の灰分とになってしまうのだから、黒焼きがきくものなら消し炭を食ってもきくわけだ、とざっとこういうふうに簡単に結論を下してしまう。 乙種の科学者は、そう簡単にも片付けてしまわない。しかし、問題がま・・・ 寺田寅彦 「自由画稿」
・・・ すると三郎は、どこから出したか小さな消し炭で雑記帳の上へがりがりと大きく運算していたのです。 次の朝、空はよく晴れて谷川はさらさら鳴りました。一郎は途中で嘉助と佐太郎と悦治をさそっていっしょに三郎のうちのほうへ行きました。・・・ 宮沢賢治 「風の又三郎」
・・・そのかわりひるすぎには、ブドリはネリといっしょに、森じゅうの木の幹に、赤い粘土や消し炭で、木の名を書いてあるいたり、高く歌ったりしました。 ホップのつるが、両方からのびて、門のようになっている白樺の木には、「カッコウドリ、トオルベカ・・・ 宮沢賢治 「グスコーブドリの伝記」
出典:青空文庫