・・・半額と無料の切符を出しているのだ。 モスクワのメーデーは、あの賑やかさと、全市に翻る赤旗の有様だけでもほんとに見せたいようだが、次の日の五月二日は休みだ。疲れやすみだね。町々には、まだ昨日の装いものがある。労働者市民は、胸に赤い花飾りな・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ ピオニェール分隊が、景色のいい田舎や海べに野営地をもっていて、ピオニェールたちは、無料で、一ヵ月ぐらい、楽しくそこで暮すのだ。 モスクワと云えば、ソヴェト同盟の首府で、世界の革命を題にし、みんな自分たちの考えだけで遊びをやりとげる・・・ 宮本百合子 「ソヴェトのピオニェールはなにして遊ぶか」
・・・ しかも、集団農場にはグングン無料託児所や、共同食堂、クラブなどが出来ている。 クラブは、都会の労働者クラブと同じだ。そこでいろいろ勉強が出来る。音楽サークル、文学サークル、演劇サークル、赤色救援会の組織などがある。五ヵ年計画でキネ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の解放された生活」
・・・大抵無料だ。けれども、「休みの家」が満員で、順がおそい連中は行けないという場合には「休みのために」或る額の金をくれる。それで、勝手にどっかへ出かけてノーノー一ヵ月休んで来るという仕組みだ。 夏になると、ロシアじゅうのステーションと列車と・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の夏休み」
・・・ それから例えば子供を生む時は産院へ無料で入れる。産院を出ると、お母さんと子供の住んでいる区の健康相談所があって、そこへ産院からその子供がどんな発育状態で生れたか、お母さんはどういう健康状態の下に乳を与えているかということ、性病の遺伝が・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・これまでソヴェトの小学校は無料のところもあったが有料のところもあった。それも、今度五ヵ年計画によって、すっかり国庫負担で全ソヴェト学齢児童就学ということになった。 ミーチャはまだ小さい。こないだ幼稚園で先生のリーダ・ボルトニコが大きくな・・・ 宮本百合子 「楽しいソヴェトの子供」
・・・ゴルロフカの労働者とその家族が無料で見物するために映画や芝居、音楽会、講演会などがこの大舞台で行われるのだ。薄暗い内部を見わしたところ、二階まで坐席があってなかなか大きい。モスクワに鉄道従業員組合クラブがあり、そこの舞台は数多いソヴェト同盟・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・産前産後四ヵ月の有給休暇。無料産院。托児所。出産仕度金は月給の半額まで支給され、ソヴェト同盟の労働法は姙娠五ヵ月以上の婦人労働者と、生れて十ヵ月未満の赤坊を抱えた婦人労働者は、殆んど絶対に解雇することは許されない。 こないだまでの世の中・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・モスクワの中央図書館では、特別移動的なゴーリキイ展覧会を組織し、ゴーリキイに関するあらゆる資料をあつめ、統計をあつめて大衆に無料公開をしている。労働者クラブの「赤い隅」はゴーリキイの著作と、その工場の労働者がどの作品を一番愛読したかという表・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・そして、各区の産院は無料だ。 その産院を、現実にこの眼で見学したくてやって来たのだ。「勿論結構です」 奥から看護婦が白い上っぱりをもって来てくれた。チビの自分には長くて靴の爪先まである。 いよいよその医員に従って廊下に出たが・・・ 宮本百合子 「モスクワ日記から」
出典:青空文庫