・・・まったく無能無策である。しかし私は、馬鹿というのか、のんきというのか、自分たちの家族のこれからの身の振り方に就いては殆ど何も考えぬのである。ただ一つ気になるのは、上の女の子の眼病に就いてだけであった。これからいったい、どんな手当をすればいい・・・ 太宰治 「薄明」
・・・ 農林大臣は無策の極、米の専売を考えているという発表をしている。あの記事を尤もと思ってよんだ人民は恐らく一人もないであろう。「専売」はタバコのことだけでも、政府にとってどんなに御都合まかせの収入の道であるかという点で試験ずみである。まし・・・ 宮本百合子 「女の手帖」
・・・出来にくい相談と分っているものを唯さえ、無策無策で信頼を失っている今日の政府が、念入りに何故、農民に向って新しく出しかけるのであろうか。 わたしたちが、一人民として、大いに洞察しなければならない社会的なモメントはここの点にかかっている。・・・ 宮本百合子 「人民戦線への一歩」
・・・ 幣原内閣の無策と不誠意とは、既に人民のあらゆる層より批判されている。財閥解体という身ぶりをしても真実にはあらゆる方法をつくして大財閥の利益を守るために熱中している幣原内閣を信頼している者はいないのである。このように、すべての課題をとき・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫