・・・バルザックは王権主義者であったにもかかわらず、彼の作品は当時のフランス資本主義発展のくまなき鏡である、とマルクスもいっているというふうな説明が行われたのであった。 きょうもまた、この古き地点からそのままひきうつして世界観の問題や創作・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・そして、フランス、イギリス、ドイツと全ヨーロッパに拡がって、それまでの中世的な暗い王権と宗教との圧迫から、自由にのびのびと人間性を解放しようとする運動となり、社会生活と文化は全面的にヨーロッパの近代への扉をひらきはじめた時代であった。 ・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・そして、旧い王権は世界各国でその数をへらしました。 第二次大戦後の世界は、一層深い傷と破滅を経験して、中産階級の没落はもとより民族そのものの自立性さえもファシズムの暴力に対する抵抗の過程でおびやかされました。しかも日本・イタリー・ドイツ・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・近代の歴史の担当者として現れたブルジョアジーは、王権を否定して市民の権利を確立すると共に、ルーテルを先頭に立てて、法王に統率され経済的政治的に専制勢力の柱である天主教の仕組を否定した。そして、市民一人一人の精神の内に在る神としてのキリスト教・・・ 宮本百合子 「人間の結婚」
出典:青空文庫