・・・六 駿馬痴漢を乗せて走るというが、それにしてもアノ美貌を誇る孔雀夫人が択りに択って面胞面の不男を対手にするとは余り物好き過ぎる。尤も一と頃倫敦の社交夫人間にカメレオンを鍾愛する流行があったというが、カメレオンの名代ならYにも・・・ 内田魯庵 「三十年前の島田沼南」
・・・ 見よ其裁判の曖昧なる其処分の乱暴なる、其間に起れる流説の奇怪にして醜悪なる、世人をして殆ど仏国の陸軍部内は唯だ悪人と痴漢とを以て充満せらるるかを疑わしめたり。怪しむ勿き也。軍隊の組織は悪人をして其凶暴を逞しくせしむること、他の社会より・・・ 幸徳秋水 「ドレフュー大疑獄とエミール・ゾーラ」
・・・夫が妻の辛苦を余処に見て安閑たるこそ人倫の罪にして恥ず可きのみならず、其表面を装うが如きは勇気なき痴漢と言う可し。一 女子少しく成長すれば男子に等しく体育を専一とし、怪我せぬ限りは荒き事をも許して遊戯せしむ可し。娘の子なるゆえにとて自宅・・・ 福沢諭吉 「新女大学」
出典:青空文庫