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・・・男女の痴話の傍杖より、今は、高き天、広き世を持つ、学士榊三吉も、むかし、一高で骨を鍛えた向陵の健児の意気は衰えず、「何をする、何をするんだ。」 草の径ももどかしい。畦ともいわず、刈田と言わず、真直に突切って、颯と寄った。 この勢・・・
泉鏡花
「みさごの鮨」
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・・・し満腹し小春お夏を両手の花と絵入新聞の標題を極め込んだれど実もってかの古大通の説くがごとくんば女は端からころりころり日の下開山の栄号をかたじけのうせんこと死者の首を斬るよりも易しと鯤、鵬となる大願発起痴話熱燗に骨も肉も爛れたる俊雄は相手待つ・・・
斎藤緑雨
「かくれんぼ」