・・・文学の歩みがその社会的相関の相貌をつよく反映して、種々な交錯の中に推移してゆかなければならないことも亦当然であろう。 最近の数ヵ月間に、作家による戦争のルポルタージュが前面におし出されて来ている。一九三七年の日本文学について語るとき、こ・・・ 宮本百合子 「明日の言葉」
・・・そして、賢明なあなたは、そういう意味であの作品が含有している作家史的意味の重大さ及び、作家の才能の真の発展と社会的、境遇的事情との相関関係についての意味深い暗示を与えていることをよく理解していらっしゃるでしょうから。 作家野上彌生子は、・・・ 宮本百合子 「含蓄ある歳月」
・・・『改造』八月に四十余枚書いたのはこれまでの研究――国際的な範囲で――が特にとりあげてはいない面――ああいう出身の一作家の発展とインテリゲンツィアとの相関関係を見きわめようとしたものであり、十分の自信があります。トルストイ、チェホフ、ツルゲー・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・つまり孤立的な静的な自我の意識でなく、全体的綜合のうちに自らを意識し、全体的環境の発展とともに自我を新しく構成し創造して行くことを希う相関的、能動的自我の意識である。が故に文学的行動主義は必然、多分の社会性をもち、また革命主義的立場をとる。・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・文化の相関的一翼として文学においてもこの現象は今日あきらかに現れている。それは後にふれることとして、最近石原純氏が、所謂統制に反対の立場において書かれている一二の文章の中で、疑問に感じたことがある。 石原氏は、科学が軍事的功利主義で余り・・・ 宮本百合子 「作家のみた科学者の文学的活動」
・・・ プロレタリア文学の敗北的な事情、状態がもとよりこのことには大きい相関関係をもっている。プロレタリア文学がそのおびただしい未熟さにかかわらず、日本の文学の発展のために益した点は文学の内容表現における社会性の評価であった。二三年前プロレタ・・・ 宮本百合子 「十月の文芸時評」
・・・○彼らは殆ど人間ではなく、むしろ人間化された特質、一つの情熱の精密機械である、p.172バルザックにあっては 人物の名に相関概念としての特質をかける。すなわちラスティニィアクは吝嗇に ゴリオは犠牲に、ヴォートランは無政府に。 食・・・ 宮本百合子 「ツワイク「三人の巨匠」」
・・・レーニン的党派性に鍛えられることによって、同志小林は、複雑、矛盾するこの世の諸現象を根源に横たわる、社会的階級的相関関係において把握することを体得し、即ち真理をより正確にとらえ得るに到っていたのである。 同志貴司山治は『改造』四月号の「・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価によせて」
・・・という相関関係を解きあかすことの出来る弁証法的唯物論の立場に立つ者、バルザックによって見てとられた未来の真の担い手に初めて与えられた歴史的な歓ばしき可能性であり、任務であると思われるのである。 斯くてバルザックは一八五〇年、ロシアの・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・ つまり、一人の、或いは集団となった農民、学生、労働者をとらえて、プロレタリア的観点から描写するに当って、具体的条件として在る闘争への種々の可能性、矛盾、困難、進展性を相関的にもれなく洞察し、同時にその総和としての全局面を、内国的、国際・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学における国際的主題について」
出典:青空文庫