・・・うんと陳腐な所謂変態心理と性慾を、最も拙劣な筋書きで見せてる。 ――レヴューは? ――ソヴェト式レヴューがあるよ。 ――オペレットは? ――ある。でも、やっぱりソヴェト式だ。 ――……ついでだから、どうだい一つ見て来た芝・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ 勿論、右のようなのは生活の大体の筋書で、例外も起れば、風雲啻ならないような場合もありましょう。けれども、このR氏夫妻のみならず、真個におのおのの業務に対する明確な責任感と、家庭人としての良心が円満な調和を保っている処では、何処にもこれ・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・ クルクルに巻いた筋書を袂に入れてかなり更けてから「まぶた」のだるい様な気持で帰るとすぐ京子は来たかと女中にきいた。 ええいらっしゃったんでございますよ八時頃に。 お留守だって申上たら随分がっかりした様に御玄関にかなり立って・・・ 宮本百合子 「千世子(二)」
・・・ ∥ かすかな嫉妬、不快さ Aの態度の自信ナサ ∥ 自分の其等に対する態度の子供らしさ 一、安積 忘れた筋書。Aノートを入れてよこさず。 一、かえる、もう七月。下旬両親との衝突 養子問題・・・ 宮本百合子 「「伸子」創作メモ(一)」
・・・ 最近日本では、その筋書とは逆な侯爵令嬢の十七日女給ということが、現実の社会で行われた。その侯爵令嬢が、ほかならぬ故東郷元帥の孫娘であったことは、世間の視聴をそばだてしめた。 良子嬢が、浅草のカフェー・ジェーエルで、味噌汁をかけた飯・・・ 宮本百合子 「花のたより」
・・・ その話をきいた時はもう締切り間もなく、おいそれと云って、まとまった筋書が立たない。自分はもし時間があったら、ソヴェトの現代作家が作品の中に婦人をどうとり扱っているか、そしてそれは、例えばツルゲーニェフやチェホフ、トルストイでもよい、革・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・単なる筋書ではない。 つよい、熱い主題をはっきり掴み、それを切れば血の出る芸術品にするためには、作家が、一人や二人の前衛として知り合いをもっていて話をきくというだけでは足りない。更に更にたたかいつつある大衆、たたかいを欲しない大衆の内部・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・少年の読む雑誌もなければ、巌谷小波君のお伽話もない時代に生れたので、お祖母さまがおよめ入の時に持って来られたと云う百人一首やら、お祖父さまが義太夫を語られた時の記念に残っている浄瑠璃本やら、謡曲の筋書をした絵本やら、そんなものを有るに任せて・・・ 森鴎外 「サフラン」
出典:青空文庫