・・・ 冶金、紡織、園芸の起源や、音楽、舞踊の濫觴までもおもしろく述べてある。神の観念が夢から示唆され、それが不可解不可能なるすべての事情の持ち込み所に進化するという考えももらされている。そして結局宗教の否定が繰り返さるるのである。 ・・・ 寺田寅彦 「ルクレチウスと科学」
・・・アナキネの物語は、ギリシアの社会に、婦人の本当の自由がなかったこととともに、女に課せられている紡織仕事に対し疑いをもっていたことがうかがわれる。 ジュノーとアナキネの関係が織り紡ぐ仕事における奴隷と主人との関係、義務を与えるものと、義務・・・ 宮本百合子 「衣服と婦人の生活」
・・・ 話の例としてひとつ「赤い糸紡織工場」の托児所をのぞいて見よう。 工場を出て、鋪道を半丁ほど来ると、ロシアらしい木の柵にかこまれ、白樺が庭に生えた煉瓦だての小ざっぱりした建物がある。 トントンとのぼる石段の入口が二つある。一つに・・・ 宮本百合子 「砂遊場からの同志」
出典:青空文庫