・・・進んでゆくうちに、読者は到るところで、しっくりはまりこめない凸凹した説明にぶつかったり、そうかと思うと、思わず作者バルザックに対する疑いを喚び覚まされるような大仰な、出来合いの大古典時代めいた形容詞を羅列した文章に足を絡まれる。非常に古代美・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・これら三つの基本的問題が、こういう問いの形でだされなければならなかった以上、小説部会の報告が創造活動についてただ記録し羅列する形しかとれず、発展的、鼓舞的なヒントを与えられなかったわけである。小説部会の報告では、過去一年間理論と創作活動とが・・・ 宮本百合子 「両輪」
・・・彼には、あの砲弾のような鮪の鈍重な羅列が、急に無意味な意味を含めながら、黒々と沈黙しているように見えてならなかった。 十 この日から、彼は、彼の妻を苦しめているものは事実果してこの漁場の魚か花園の花々か、そのどち・・・ 横光利一 「花園の思想」
出典:青空文庫