・・・へのプロテスト――農村と都会の分裂の悲劇p.67 十六世紀のアンリ四世とパリの同業組合p.68 異教の擡頭につれて、パリでは警吏が町角の聖母像におじぎを強要した。ふみ絵の元祖?一五六〇年頃p.72 新教と「家庭」。市・・・ 宮本百合子 「バルザック」
・・・猫背の背中を真直にし、頭をふりあげ、愛想よくカザンの聖母の丸い顔を眺めながら、彼女は大きく念を入れて十字を切り、熱心に囁くのであった。「いと栄えある聖母さま、今日もあなたの恵みを与え給え。おん母さま」 地べたにつく程低くお辞儀をする・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・趣味のある娘ならその前で讚美するのがきまりとなっているラファエルの聖母を、マリアははっきり自分は不自然だからきらいだといっているのは面白い。そんなに理解力のつよいマリアさえも貴族としての境遇は愚にした。「ロシアには下らない人間がたくさんいて・・・ 宮本百合子 「マリア・バシュキルツェフの日記」
・・・たとえ偶像礼拝の傾向が聖母崇拝や使徒崇拝などの形で生き残って行ったとしても、美しいギリシア諸神の像はついに中世の闇の内に隠れてしまった。八世紀の偶像破壊運動は、キリスト教の聖者像をさえも寛容しようとしないものであった。 やがて新しい時代・・・ 和辻哲郎 「『偶像再興』序言」
出典:青空文庫