・・・高くは聖書のように、自分の体験した人間のたましいの深部をあまねく人類に宣伝的に感染させようとしたものから、哲学的の思索、科学的の研究、芸文的の制作、厚生実地上の試験から、近くは旅行記や、現地報告の類にいたるまで、ことごとく他人の心身の労作に・・・ 倉田百三 「学生と読書」
・・・わが旧時代の芸文はいずれか支那の模倣に非らざるはない。そはあたかも大正昭和の文化全般の西洋におけるものと異るところがない。我国の文化は今も昔と同じく他国文化の仮借に外ならないのである。唯仔細に研究し来って今と昔との間にやや差異のあるが如く思・・・ 永井荷風 「向嶋」
・・・ ヘッセの『イリース』等を出している本屋の名が芸文書院と読めたのですが、それで当っているでしょうか。一番最後の行の良い芸術と書かれている字と照し合せてそう判断したのですが。本屋のところがおわかりでしょうか。教えて頂けますか? 出来たらば・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
出典:青空文庫