袖に湊の騒ぐ
港に波が打ち寄せて騒ぐように、袖に涙がひどく流れる。「思ほえず—・ぐかなもろこし舟の寄りしばかりに」〈伊勢・二六〉
袖振り合うも多生の縁
道で人と袖を触れあうようなちょっとしたことでも、前世からの因縁によるものだ。袖すり合うも多生の縁。→多生の縁 [補説]「多生」は、仏語で、何度も生まれ変わること。「他生の縁」とも書くが、「多少の縁」と書くのは誤り。
袖振る
1 別れを惜しんだり、愛情を示したりするために、袖を振る。「白波の寄そる浜辺に別れなばいともすべなみ八度 (やたび) —・る」〈万・四三七九〉 2 袖を振って舞う。「唐人の—・ることは遠けれど立ちゐにつけてあはれとは見き」〈源・紅葉賀〉
袖纏き干す
《「纏き干す」は、共寝の枕にして乾かすこと》共寝して、涙に濡れた袖を乾かす。
袖を片敷く
「袖片敷く」に同じ。
袖を絞る
涙でぬれた袖を絞る。ひどく涙を流すことにいう。「墨染の—・りつつ、泣く泣く罷 (まか) り出でられけり」〈平家・灌頂〉
袖を連ねる
大ぜいの人が連れ立って行く。また、行動を共にする。「—・ねて出かける」
袖を通す
衣服を着る。特に、はじめてその衣服を着ることにいう。「新しいスーツに—・す」
袖を引く
1 袖を引いて人を誘う。催促する。「早く帰ろう、と母親の—・く」 2 人の袖を引いてそっと注意する。「もっと小さい声でと—・く」
袖を広ぐ
《袖を広げて金品を受けることから》物乞いをする。