・・・ 第一の詰問には、断然と、そうではありませんと云える彼女も、その次の前へ来ては、躊躇を感じさせられた。少くとも、「けっして」、そうでは、ありませんとは云えない何ものかが、心の奥にあったことを思い出さずにはいられなかったのである。 親・・・ 宮本百合子 「地は饒なり」
・・・ Aは、詰問的な母の口調にあって、少なからず、感情の自由な活動を遮られ、言葉がうまく自然に出ないと云う風に見えた。「いろいろな日常生活のことでですね、僕も出来る丈忠告もし、いいと思う方に進めもします。けれども、書くものについて丈は、・・・ 宮本百合子 「二つの家を繋ぐ回想」
・・・ 官邸に入った代表は、首相に面会して、今日の日本の生活が、これほど行づまり、危機にせまっているのに、具体的な方策は一つも建てないで、政権の奪い合いをしている不誠意について詰問したのであった。 総選挙、その後の政府のやりかた、メーデー・・・ 宮本百合子 「メーデーに歌う」
出典:青空文庫