・・・あながち志壮なるが故にではなく、ごく古くからありふれた習俗の枠にはまった考えかたで、恋愛と青春の放埒と漠然混同し、その場その場で精神と肉体とを誘い込む様々の模造小路を彷徨しつつ、身を堅める時は結婚する時という風な生き方である。 そういう・・・ 宮本百合子 「成長意慾としての恋愛」
・・・ こういう仲間に、ゴーリキイは祖母ゆずりの、聴きての心を誘い込むような魅力のこもった話しかたで、よりよい人生への可能の希望を目醒まそうとするのであった。 この時代から、ゴーリキイの心が溢れて詩になりはじめた。それが重々しくて、荒削り・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
・・・悠々たる観の世界は否定の否定の立場として自他不二の境に我々を誘い込むのである。 和辻哲郎 「『青丘雑記』を読む」
出典:青空文庫