・・・ その頃の書生は今の青年がオペラやキネマへ入浸ると同様に盛んに寄席へ通ったもので、寄席芸人の物真似は書生の課外レスンの一つであった。二葉亭もまた無二の寄席党で、語学校の寄宿舎にいた頃は神保町の川竹の常連であった。新内の若辰が大の贔負で、・・・ 内田魯庵 「二葉亭余談」
・・・ それ故に、課外の情操教育や、乃至人格を造る上に役立つ教化は学校教育と併行して奨励されなければならぬ急務に迫られています。児童を中心とする文学は、それ自からの中に児童の世界を展開し、生活し、観察し、思考することより描かれたものでなければ・・・ 小川未明 「新童話論」
・・・の影響とトルストーイの作品が私の成長の糧で、千葉先生には、課外の読書のことで放課後、たまに三十分ぐらい話を伺うようになった。 先生は、いろいろのことを考慮してであったろうが、余り私的なことや感情問題にはふれず、単純に本の話をされた。そし・・・ 宮本百合子 「時代と人々」
・・・ 学課についてでも、課外の読書に関してでも、或はもっとプライヴェートな相談でも、他に障害を来さない程度で、指導をいとわれなかった。読んで見るとよい本なども丁寧に教えられた。私が、科学的な書籍に或る程度の興味を感じ得るようになったのも、自・・・ 宮本百合子 「弟子の心」
出典:青空文庫