・・・ 特徴的に狭い額に、深い横皺のある賤しい顔つきをした男は警視庁と印刷のしてあるケイ紙を出し、そこへ、 赤旗 共青 資金関係 そんな風な項目を書き並べた。「サア、いつから赤旗を読んでる!」 自分はそういうもの・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・去年、重治さん夫婦は富士見の高原へゆき、健坊たちは千葉の海岸へ行ったが、今年はどこもまだ釘づけです。資金思わしからずでね。 島田へは椅子をお送り申しました。お気に入って東京からよこしたといってはお見せになっている由。私も大変うれしい。そ・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・もう一つは島田の父上の御隠居部屋をつくる資金の一部をお送りすることです。この計画は非常に楽しみで、そのために早く本を出したいとさえ思う位です。虹ヶ浜へ小さい家をかりてあげましょうかとも思ったが父上が家を離れなさることは不可能だから、お離れを・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・人員整理、失業とのたたかい、越年資金闘争のすべては「その大部分がいかにもあいまいで、うそではないにしても、ほんとの程度がわからないといったものであります」という種類の社会現象だったろうか。二十五万人の女子大学生と男子大学生にきいてみたい。日・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・(一九二八年から一九三三年にわたるソヴェト産業拡張五ヵ年計画は、プロレタリアート文化向上資金として三億五千万ルーブリを予定している。この資金の一部で五ヵ年計画完成後には労働者および下級勤人の子供百五十万人が学齢以前の保護を受けるよう・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・ 独占資本の機構が、時々刻々にひき出す尨大な金貨の山におしあげられながら、自分をファシストだと認めない国際ファシストたちは、MRAのために資金を出し惜しまない。MRAの去年の大会には、二百人の代表が各国から招待されたばかりでなく、五十二・・・ 宮本百合子 「再武装するのはなにか」
・・・発句、釣、低利資金で米松の家を作ろうという。しきりに建築について研究し、「あの柱の破れなんか、震災の影響です」又「あの中廊下が地震のとき役に立ったですな、つっぱりますからね」等。 島野 古の物語、絵巻にありそうに貧相でプ・・・ 宮本百合子 「一九二五年より一九二七年一月まで」
・・・政治的方向は独占資本の欲する方向と反対ではあり得ない。資本主義の国々での政治はもとより人民の手にないし、政治家の手にあるのでもない。政治資金を提供する独占資本の力、その力こそ軍隊を持つ国家権力として自身を表現している。第二次大戦の過程そのも・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・ところでね、そういう劇場だって、運転資金となる利益は矢張り切符のうりあげだろう? ――そうだ。が、全部ではないよ。ソヴェトの劇場は、松竹御儲けのためにあるんじゃない。本当に大衆の楽しみと文化向上の目的をもって建てられている。だから各劇場・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ ソヴェトの五ヵ年計画は鉄、石油、石炭をこれまでの何層倍か沢山生産すると同時に、こうやって、子供の幸福をまで考え、そのために幾百万という資金をつかってるのだ。 もう一、二年すればミーチャは小学校だ。小学校に入れることで、一安心したの・・・ 宮本百合子 「楽しいソヴェトの子供」
出典:青空文庫