・・・同じ時代に発表されたロシア作家の作品でも、「赤色親衛隊」などのもっている諸要素は、セラフィモヴィチと全く反対の調子のものであり、作者フールマノフの南方的でない気質を示していることが見られるのである。 ところで、現実について観察を進めてゆ・・・ 宮本百合子 「自然描写における社会性について」
・・・ モスクワ市発電所の虹のようなイルミネーションが、チラチラ美しくモスクワ河の面に溶けている。赤色労働組合の総本部労働宮は、どうだ! まるで闇に浮き立つ光の宮だ! クレムリンの時計台にとりつけられたラジオ拡声器は絶えずピアノ行進曲を広場中・・・ 宮本百合子 「勝利したプロレタリアのメーデー」
・・・私たちに近親な作家として、たとえばフールマノフやファデーエフ等の作家たちは、彼の「赤色親衛隊」や「叛乱」の政治的・文学的意味を自覚して創作したであろうし、ファデーエフの「壊滅」は偶然の作品ではなかった。単にゲリラに参加した若者の手記ではなか・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・のわきを電車がまわるとき、ニーナはなんとも云えないよろこびで、三月八日と大きく輝いている赤色イルミネーションを眺めた。赤い光りはボーと屋根の雪までてりかえしている。 電車の乗合も、どっかのクラブか芝居へ出かけるらしい労働婦人たちが多い。・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の三月八日」
・・・作家団体と赤色陸海軍作家連盟とがその師匠役の組織的形態を示してくれることを我々は希望している。」「ラップ」の新鋭作家たちの間では、文学の組織的生産が問題としてとりあげられるようになった。ソヴェトで、あらゆる生産は計画生産だ。そこにこそ、・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
・・・音楽サークル、文学サークル、演劇サークル、赤色救援会の組織などがある。五ヵ年計画でキネマ館が一万五千三百軒から八万七百軒にふえる。ラジオは四百万人が聴くようになる。 実際、ソヴェト同盟は働く者の国だ! 芝居、音楽会、キネマなんかを見るの・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の解放された生活」
・・・けれども太陽は、単に赤色に輝くものでなく、又紫に光るものでもない事を私共は知っている。一部分宛なのだ。勿論部分は尊い。然し、友よ、私は、只一部分丈に視野を画って、今は、青い時だ、俺はその青い中でも一番強い青色を持っているのだぞ、と云って誇る・・・ 宮本百合子 「一粒の粟」
・・・「赤色親衛隊」の作者、故フールマノフにしろ、ゴーリキイにしろ、前例のない作家の典型である。これらの人々は、ゴーリキイのように終始一貫作家としての活動で歴史の推進に参加し、それを反映すると同時に進む歴史の指導的な力に導かれて偉大な完成を遂げた・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・ 一九一八年の党員で、フルンゼと一緒に赤色戦線で働き、クバン駐在赤軍政治部長をやった若いドミトリ・アンドレーウィッチ・フールマノフは、ボルシェビキ作家の誇、「チャパーエフ」、「反乱」などをわれわれに与えた。グラトコフの「セメント」、フセ・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・赤茸のような鮮やかな赤色でもかつて美しさを印象したことはない。それは気味の悪い、嫌悪を催す色であった。スドウシやヌノビキなどは毒茸ではなかったが、何ら人を引きつけるところはなかった。 子供にとって茸の担っていた価値はもっと複雑な区別を持・・・ 和辻哲郎 「茸狩り」
出典:青空文庫