・・・それは、こういう変異の各相の中に未来の好適種の可能性が存するとすれば、われわれはむしろこの際できる限りの型式のヴェリエーションを尽くして選良候補者のストックを豊富にして、それらを生存競争の闘技場に送り込むのも時宜に適するものではないか、とい・・・ 寺田寅彦 「俳句の型式とその進化」
・・・純潔な処女をこの一角の怪獣の棲家へ送り込むと、ウニコールがすっかり大人しくなって処女の胸に頭をすりつけて来る。そこを猟師がつかまえるのだという。相手がウニコールであるとは云いながら甚だ罪の深い仕業であると云わなければならない。 ・・・ 寺田寅彦 「マルコポロから」
・・・仮令先について居るたまが金むくであろうとも、二米のゴム管を十二指腸へ送り込む芸当は優美にして 快適な至芸ではない。自分は一生の間に屡々此は繰りかえしたくないことだと思った。そこで、眉毛が目の三倍位長い医者に質問した。――私は自分の胆嚢が・・・ 宮本百合子 「一九二九年一月――二月」
・・・であり、今日では計画的に支配階級がプロレタリアートの組織へその破壊を目的として送り込むもの、即ち敵の組織の積極的一部であり、プロレタリアートはそれと常に闘い、一旦打撃はうけようとも終結において常にプロレタリアートが勝利するものであるという本・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価によせて」
出典:青空文庫