・・・加盟の各団体およびその同盟員によって執筆、刊行された同志小林に関する諸文献を仔細にしらべて見ると、それらのあるものも、やはり同様な文化主義的傾向や右翼的逸脱への危険を示していることを発見する。 これらに対する批判的追補として『プロレタリ・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・ バルザックの文章は、書かれている事件が複雑な歴史に踏みへらされたパリの石敷道にブルジョアの馬車が立ててゆく埃を浴びているばかりでなく、文章そのものが、まるで、一見無駄なものや、逸脱したり、曖昧であったりする様々な錯綜したものを引くるん・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・ 最近十年間に登場した作家の多くが、散文から全く逸脱して小径を歩いているのも窮極は、精神の不如意と苦悩とによっている。故に壮健な散文家となる希望も、その苦悩そのものの火にしかないわけである。そしてこの苦悩の重圧は、人々をひしぐか鍛えるか・・・ 宮本百合子 「バルザックについてのノート」
・・・一応林の発展の方向がこんにちの国際的な階級闘争の重大なモメントから逸脱したものであること、階級的分析に対する無関心が諸作に現れ、それは林が「あらゆる非文学的なもの、卑俗なものから純粋になろうと努力」したが、その努力が「階級闘争の新たな段階の・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
・・・ 前衛党の組織はひろくなり闘争面は多様になり民主民族のための強力な統一戦線をもつに至っているとき、文化科学の各専門家がそれぞれの分野で実力ある文化反動とのたたかいを行うことは革命のプログラムから逸脱したことでしょうか。特に日本と中国と・・・ 宮本百合子 「文学について」
・・・真面目な意図をもつ小説にどうにかして目新しさ、面白さの綾をつけようと、作者の努力をついに逸脱させるまで暗黙に刺戟しているものを、文学の大局から何と見るべきであろう。読者にとっても作者にとっても、新しくないのに未だ本当の解答は出ていない一つの・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・ マクシム・ゴーリキイの人間及び作家としての全業績、及びその上に包括されるものとして生涯の或る時期に一度ならず経験された絶望、動揺、逸脱の性質などを若き時代が十分の尊敬と判断力とをもって究明すべき所以は、それらの現象の殆ど悉くが古い文化・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
出典:青空文庫