・・・どこかブリギッテ・ヘルムに似たところのあるこの役者のこの配役にはなんとなくダヴィンチのモナリザを思わせる不可思議なものがある。少女マヌエラのほうは、理性よりも、情緒の勝った子供らしい、そうしてなんとなく夢を見ているような目と、なんとなくしま・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(2[#「2」はローマ数字、1-13-22])」
・・・ ルネ・クレールでもデュヴィヴィエでも配役の選択が上手である。いくらはやりっ子のプレジアンでも、相手がいつも同じ相手役では、結局同じ穴のまわりをぐるぐる回ることになるであろう。 このあいだ見た蒲田映画「その夜の女」などでも日本映画と・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
・・・そして登場する人物、配役も、少くとも「津村教授」から「真実一路」に至る間は、小説と戯曲とでいくらかの違いこそあれ、これも些か注意ぶかい読者ならば、おのずから心づかずにはいられない反復をもって、良人以外の男と恋愛的交渉のあった妻、ある妻。その・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
出典:青空文庫