・・・ 農家を維持するに必要な最小限の耕地面積は略一町七反であると云われている。 ところが実際では日本の全耕地所有農家の約半数が五反未満の田畑をもっているに過ない。 玄米一石の生産費自作農二五円八七銭 小作農二八円七一銭・・・ 宮本百合子 「新しき大地」
・・・耕地面積は五年前を一〇〇とすると一四五で、世界のよその国ではアメリカでも農業恐慌で耕作面がどんどん縮少しているのに比べて実に大した違いである。 農民の収入も自然と年々高まって来ている。 集団農場にも種類があって、単に蒔つけ、刈入れ、・・・ 宮本百合子 「今にわれらも」
・・・ ツァー、貴族、教会、地主、富農の土地は没収された。面積一億デシャチン、価格百三十億金ルーブリの耕地が「十月」によって確実に農民の手にわたった。 ところが、戦後共産主義の毎日が始って見ると農村にはいろいろな困難が起って来た。 農・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・だが果してそれだけの面積が見えるか? 安積の夕焼空の色彩の燃える美しさは驚くばかりです。太郎はどんな風にあの夕焼空の下をヨタヨタ歩いているでしょうか。 十九日の昼。 机に向っている。うしろから涼風が入って来る。仕事にとりかかる一寸前・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・国土の面積に比べて日本は鉄道網の発達していることと、小学校のどっさりあることでは世界屈指であった。八年制によって、その質が高められようとするのだろう。 事変以来、様々の勤労の場面に小学校の卒業生の求められている勢は殆どすさまじいばかりで・・・ 宮本百合子 「国民学校への過程」
・・・男の方はざらにある、ずんぐりで、年より早く禿が艷と面積とを増したという見かけだ。女は――これも好奇心を呼び起す或る原因だったと云えるが――割に、夜化粧することの好きな外国婦人としては粗末な服装であった。男の小指にはダイアモンドが光っているの・・・ 宮本百合子 「三鞭酒」
・・・第一、無駄でない程度に面積に余裕のあること。第二、立ったまま、洗物も、調理も出来ること。第三、窓を多く、壁、天井は真白で、充分の燈火を持つこと。第四、大きい卓子を置き、傍に瓦斯ストーブ、コンロ、アメリカ辺でやっているように、・・・ 宮本百合子 「書斎を中心にした家」
・・・この二千億という紙幣を百円札で八割、十円札二割とすると、面積六六万平方キロ。長さ八二万キロで地球のまわりの長さの二十倍。高さ富士山の百二十倍。この二千億を日本の総人口七千万と仮定すると一人が三千円ずつもっていられるはずである。ところが、実際・・・ 宮本百合子 「正義の花の環」
・・・ 他の小作男に見つもらせても、小作米だけは不作でも十分あがる面積と質を持って居た。 けれ共どうしたものか、毎年上るべきものが上らない。納めるものを納めないで自由な暮しをして居るかと思えばそうでもなく、甚助の家よりもっと酷いと云う話を・・・ 宮本百合子 「農村」
・・・顔位の狭い面積の処で、一部を強く引っ張れば、全体の形が変って来る。醜くくはない顔の大きい目が、外眦を引き下げられて、異様に開いて、物に驚いたように正面を凝視している。藤子が食い付きそうだと云ったのも無理は無い。 附き添って来たお上さんは・・・ 森鴎外 「カズイスチカ」
出典:青空文庫