・・・クリスチャンということをこの頃強調する片山首相夫人は、営養失調で死んだ判事の事件に対して新聞記者のインタービューに答え「そこは奥様が少しなんとかね」と語っている。首相宅では闇買いはちっともしないでやっている。ときどきみなさまの下さるものは、・・・ 宮本百合子 「再版について(『私たちの建設』)」
・・・片山哲が首相であった時、一般都民が高い都民税に苦しんだ頃、同氏の税額が公表されたことがあった。それは東京都民として最低の額であった。MRAのお客となることは、懐のいたまない、気分のいいことかもしれないが、そのかわり、それだけの恥もひそめられ・・・ 宮本百合子 「再武装するのはなにか」
・・・吉田首相が記者会見のとき、連合国の日本民主化方策について、はじめは危惧の念を抱かないでもなかったが、この頃は我々にも十分納得ゆくようになって欣びにたえない、と語ったことは現実的な深い内容を暗示した。ポツダム宣言、世界憲章の人類的な道義の道は・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・火野葦平が同人雑誌の活溌化にふれて語っている自身の、陰忍自重四年の間待った甲斐あるこんにちのよろこびは、いかにも意味がふかい。首相は朝鮮での事件を、「天佑である」とよろこんでいる。そのこころに通じるものがあるようで、火野葦平、林房雄、今日出・・・ 宮本百合子 「しかし昔にはかえらない」
・・・吉田首相がイギリスの探偵小説をよみ、日本の大衆小説をよむ所以であろう。だが、慰みと、文学への欲求とは、一つのものであるだろうか。 もとより、めのこ算用で、部分品の全部がくみ合わさった状態における人間を考えたり、それを描いたりすることは、・・・ 宮本百合子 「「下じき」の問題」
・・・の用意があると首相が声明し、それをのせたのは読売新聞であり、他新聞は、自殺説・他殺説それぞれの客観的根拠を語っているが、読売の記事は一貫して犯罪性を濃く表現し、しかもそれを何のよりどころもないのに共産党、組合と結びつけている傾向が露骨である・・・ 宮本百合子 「「推理小説」」
・・・正業にしたがっているものは、税、税の苦しみで、片山首相が「間借り」で都民税一二〇円ですましていられたことを羨んだ。 こういう状態であってみれば、今日のメーデーに叫ばれる生活安定の要求は、この前二度の五月一日よりも痛切である。 税と云・・・ 宮本百合子 「正義の花の環」
・・・2、吉田首相は「放談」ぐせがつきすぎました。タイコモチにばかりかこまれて、半面自分自身のホーカン性によって。3、南原総長の抗議を支持します。4、南原氏を抑えても、生きている人間の理性と税をはらって役人を生活させている人民の判断は・・・ 宮本百合子 「戦争・平和・曲学阿世」
・・・フランスの元首相ポアンカレー、外相ブリアン、英国の労働党外相ヘンダアソン等の嘘の皮が骨までひきはがれた。 全ソヴェト作家団体協議会では、直に、真剣な産業擾乱陰謀についての批判大会を開いた。あらゆるソヴェトの印刷物は、この陰謀発覚について・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
・・・また西園寺首相の招待を断わって新聞をにぎわせた。そういうことから私たちは漱石が権門富貴に近づくことをいさぎよしとしない人であるように思い込んでいた。またそれが私たちにとって漱石の魅力の一つであった。しかし漱石は、いつだったかそういうことが話・・・ 和辻哲郎 「漱石の人物」
出典:青空文庫