昨日 当時の言い方に従えば、○○県の○○海岸にある第○○高射砲隊のイ隊長は、連日酒をくらって、部下を相手にくだを巻き、○○名の部下は一人残らず軍隊ぎらいになってしまった。 彼は蓄音機という綽名を持ち、一年三百六十五日、一日も・・・ 織田作之助 「昨日・今日・明日」
・・・しかしこの大きな蛾をはたき落とすにはうちの猫では間に合わない。高射砲など常識で考えても到底頼みになりそうもない品物である。何か空中へ莫大な蜘蛛の網のようなものを張ってこの蛾を食い止めるくふうは無いものかと考えてみる。あるいは花火のようなもの・・・ 寺田寅彦 「からすうりの花と蛾」
・・・しかしこの大きな蛾をはたき落すにはうちの猫では間に合わない。高射砲など常識で考えても到底頼みになりそうもない品物である。何か空中へ莫大な蜘蛛の網のようなものを張ってこの蛾を喰い止める工夫は無いものかと考えてみる。あるいは花火のようなものに真・・・ 寺田寅彦 「烏瓜の花と蛾」
出典:青空文庫