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・・・ 大伯父が純宗教家でそう華々しい生活もして居なかったけれ共旧家だもんで今東京で相当に暮して居る。 千世子の家とはかなり親しいんで千世子なんかもちょくちょく行った。 大伯母さんと千世子なんかは呼んで居た。三十八九の時、信二をもった・・・
宮本百合子
「千世子(二)」
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・・・一番上の大伯母は、この村から三里も離れた城のある上野という町にいたが、どういうものだか、この美しい伯母にだけは、親戚たちの誰もが頭が上らなかった。色が白くふっくらとした落ちつきをもっていて、才智が大きな眼もとに溢れていた。またこの大伯母はい・・・
横光利一
「洋灯」